オペラ歌手(ソプラノ) 大岩千穂 公式サイト

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インタビュー

L'oPERIA公演 第3回  プッチーニ作曲 オペラ『トスカ』にご出演の方々にインタビューをしました。

今回ご出演頂く主要キャストの3人の方に私大岩千穂が質問をさせていただきました。
実は演奏家同士は意外に言葉で語る機会というのは少なく、常にリハーサルや舞台本番では音楽を共通語として音楽で語り合います。私もインタビューをするのは初めでしたが貴重なお言葉を頂けてとてもありがたく気持ちが引き締まります。

2013年6月取材
大岩千穂

出演者インタビュー
(1)トスカの恋人カヴァラドッシ役 笛田博昭さん>>  (2)警視総監スカルピア役 直野資さん>>  (3)ピアニスト 河原忠之さん>>

《出演者インタビュー :トスカの恋人カヴァラドッシ役 笛田博昭さん》

質問(1)
大岩:笛田さんはこの『L'oPERIA公演』には昨年に引き続き2回目のご出演ですね。昨年のピンカートン役は不実な役でしたが今年は最後までトスカを愛する愛情深い役ですね。そしてこのカヴァラドッシ役には2つの美いアリアがあります。この2つのアリアの魅力をそれぞれ教えてください。

笛田さん:この度も共演させて頂きとても光栄です!精一杯やらせて頂きます。
Cavaradossiの二つのアリアはとても有名ですので、すべてが素敵ですがあえて言いますと1幕冒頭で歌うRecondita armoniaはやはり最後のah! il mio sol pensier sei tu! Tosca sei tu!(私の想いは、トスカ、君だけだ)というところですかね。音もアリアの中では一番高いシのアクート(高音)が出てくるのでカヴァラドッシの情熱を感じるところです。
最終幕のE lucevan le stelleは死刑を目前に恋人トスカを想い歌う歌なのですが、この曲は本当に全部が聴きどころだと思います。あえてその中でもというのであればle belle forme disciogliea dai veli(美しい姿をそのヴェールから引き出していた)の部分ですね。テクニック的にも高音域でピアニッシモにするのでとても難しい所です。頑張ります?

質問(2)
大岩:オペラの中でトスカとカヴァラドッシ二人のシーンの一番の見せ場はどこですか?またその時のカヴァラドッシの心理を語っていただけますか?これを読まれるお客様はそのシーンがきたらきっと笛田さんのメッセージを思い出すことでしょう。

笛田さん:3幕のトスカとのドゥエットですね。トスカはカヴァラドッシとの素敵な未来を思い描き歌っているのですが、カヴァラドッシは既に死を覚悟して歌っているところですね。
内心はとても切ないですし、トスカにすまないと思っているのではないでしょうか。

質問(3)
イタリアで勉強し、舞台にも立ってらっしゃる笛田さんですが、それらの経験から学んでいることを教えてもらえますか?そしてご自身の中で何が一番の良い変化をもたらしていますか?

笛田さん:イタリアで学んだ事やデビューした事はとても大きかったと思います。
まずイタリアで生活をしないと分からない事が沢山ありました。具体的に何がというと難しいのですが、空気が違うのです。その土地で学ぶことが何よりも意味のある事なのだと思いました。自分の中での一番の良い変化は前よりも自信が持てるようになった事ですね。それと息で歌う大切さを実感しました。

質問(4)
ずばり、夢を語ってください。(人生においてでも、歌に関する夢でもどんな夢でもいいです)

笛田さん:80歳になってもきちんと歌えることです!

大岩:ありがとうございます。いい舞台にしたいですね。よろしくお願いします。

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《出演者インタビュー :警視総監スカルピア役 直野資さん》

質問(1)
大岩:直野さんはこのスカルピア役を数多くの公演で演じられていますが、それでもここは毎回細心の注意を払うというシーンはどこですか?

直野さん:悪を強調しようとする本能は誰しも持っているものです。しかし舞台上での事なので悪も美学でなくてはならない哲学があります。プッチーニの作曲したこのオペラの中で最高の傑作『トスカ』。そして悪役スカルピアの音楽とドラマをマックスにして登場させる。まさにスカルピアの登場イコール残酷劇の始まりでなければならないというところです。

質問(2)
大岩:この作品の原作者サルドゥーはスカルピアの屈折した性格を時いやらしく露骨に書いていますが、原作の小説からインスパイアされたプッチーニは脚本にドラマティックな音楽を書き、オペラに登場するスカルピアは原作の小説よりも品格があり男性としても魅力的に描かれていると思うのですが、その辺の直野さんのスカルピア像をお聞かせいただけますか?

直野さん:ヴェルディの『オテロ』という大オペラに出てくる悪の代名詞となる人物にヤーゴという役があります。ある時演出家から指摘されました。直野?お前はヤーゴを悪いやつにしようと思いすぎていると、的確な事を言われました。こんな悪党は3回程生まれ変わらないと出来ないと答えましたら逆に良い人間をやれば良いのだと。一つ二つ悪が出ればそれで良いのだと。成程の出来事でした。イコールスカルピアも同じことが言えます。

質問(3)
大岩:直野さんの座右の銘をお聞かせください。

直野さん:芸術家としての矜恃、誇りやプライドを指します

質問(4)
大岩:この『L'oPERIA公演』にご出演は2回目(2年前の椿姫でジェルモン役を演じられました)ですが、お客様は直野さんの再びのご出演をとても楽しみにされています。また今回初めてこのコンサートにお越し下さる方々も多いと思います。日本オペラ界の名実ともにリーダーとして舞台に立ち続けてらっしゃる直野さんの今思ってらっしゃること、皆様に伝えたいメッセージはありますか?

直野さん:オペラは音楽の中での最高峰です。 どんなにすばらしい交響曲を書いている天才作曲家達も結局はオペラを書く事が目標のようです。そんな偉大な天才達の才能を浴び乍ら舞台上で演じられる喜びを共に感じてください。

大岩:直野さんの気持ちの引き締まる深いお言葉をいただき感謝いたします。

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《出演者インタビュー :ピアニスト 河原忠之さん》

質問(1)
大岩:河原さんも昨年に続き2回目のご出演ですが、昨年の演奏に多くの方が『オーケストラを聞いているみたい?』と感激してらっしゃいました。河原さんがオペラを弾く時、他のピアノ曲を引く場合と違う大きな点、心がけている点を一つだけ教えていただけますか?

河原さん:模倣と同化:オーケストラにおける楽器の模倣と、芝居を念頭に置いた上での歌手との同化です

質問(2)
大岩:プッチーニは原作の持つ人間のどろどろした部分を見事に写実的にかつ優美に仕立て上げる名人ですが、楽譜から見えるその仕立ての魅力は一言で何だといえますか?オペラに詳しくない方にもわかる表現でお願いできたら嬉しいです。

河原さん:優美と言えばメロディーのイタリア的な美しさでしょう。そして全ての音が芝居のために、そしてキャラクターのために書かれています。今の映画音楽はここから始まったと思います。

質問(3)
大岩:今回の『トスカ』の中で河原さんは指揮者的存在でもあるので、どこが一番の聴きどころかを尋ねたらきっと全部とお答えになることでしょう。それでもあえて、ここは決して聞き逃さないで?というシーンはどこですか?

河原さん:やはり、スカルピアに迫られ『歌に生き愛に生き』を歌う場面とスカルピアを殺したあと第2幕最後、『これがトスカの接吻よ』というセリフをトスカがどう言うかでしょう。

質問(4)
大岩:ずばり、『夢』を、『叶えたい目標』を教えてください。

河原さん:新国立劇場でオペラを指揮することです。

大岩:ありがとうございます。お客さまに11月22日河原さんの演奏でプッチーニの音楽がポリフォニックに彩られることを楽しみにしていいただきたいです。

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